自らの道を切り開き、進み続けている憧れのあの人は、何を考え、挑戦しているのか。仕事やプライベートで好きなことなど“19の質問”をぶつけ、自分らしく輝くためのヒントを探ります。今回は、台湾発女の子のための漢方ブランド『DAYLILY』代表の小林百絵さんとCOOの王怡婷(オウイテイ)さんにお話を伺いました。

小林さん:現在『DAYLILY』のメンバーは、わたしたちとデザイナーの3人です。日本はわたしが、台湾はエリちゃん(※王さん)が中心になって、商品づくりや広報、店舗の管理や準備、営業などあらゆることを行っています。
王さん:台湾には店舗があるので、店舗の管理や商品づくりがメインの仕事です。『DAYLILY』の商品は台湾のメーカーさんと一緒につくっています。
小林さん:いや、まったく。エリちゃんとは同じ研究室だったので、プロジェクトに取り組む中で仲良くなりました。漢方の話やそれを習慣にしたいという話はよく聞いていたんです。カフェでおすすめの漢方を飲ませてくれたりして(笑)すごく面白いなとは思っていましたが、当時は一緒にブランドをつくろうとまでは考えていませんでした。
小林さん:エリちゃんから聞いた漢方の話が、とても印象に残っていたんです。日本人にとって、漢方は敷居が高いものじゃないですか。それがもっと身近になればという想いにすごく共感しました。私は1年先に卒業したのですでに就職していたのですが、エリちゃんも卒業したら一般企業に就職すると聞いて、すごくもったいないし、絶対にやるべきことだと思ったんです。だから、一緒にやらないかと誘いました。

王さん:実家が漢方薬局なので、ずっと漢方が身近にありました。だから、日本に来てもあまり病院に行きたくなくて(笑)漢方を取り入れたライフスタイルを提案できたらと思い、大学院では『DAYLILY』をテーマに論文を書きました。『DAYLILY』をやることは、私の使命だとずっと思っていたのですが、起業なんてしたことないですから。まずは就職しようかなと思っていたんです。でも、モエさん(※小林さん)から声をかけてもらって、「モエさんと一緒ならできるかも!」と感じ、とてもありがたい気持ちではじめました。
王さん:“漢方はライフスタイル”だと表現できる商品づくりをしています。漢方って食べるだけではないんです。シャンプーやパックなど、生活のあらゆる場面に存在しうるもの。これから日本にも店舗ができるので、それに合わせて商品のバリエーションを増やしていきたいと思っています。

小林さん:デイリリーの花の色です。いくつか候補があり、その中で一番元気がでるなと感じたものをブランドカラーにしました。
小林さん:漢方自体もそうなのですが、『DAYLILY』の世界観に共感し、商品を新しく日常のルーティンに入れていると聞くとうれしいです。「『DAYLILY』のおかげで、生理がくるのが楽しみになりました」と言われたときは、やっていてよかったなと思いました。
王さん:この間なんて「妊娠しました!ありがとう」とお店まで言いにきてくださった方も!

王さん:あと、わたしは父に対する考えが変わりました。台湾では、漢方は臭くてダサいものというイメージがあるんです。実家が漢方薬局なので、全身から漢方の臭いをさせて学校に行く。すると、みんなに笑われる。だから父の仕事に対して、ちょっと恥ずかしい気持ちがありました。

小林さん:新しいことをはじめるときって、唯一やりたいっていう想いしかない。何もない中で、いろんな人に協力してもらうとき「頑張ります」としか言えない辛さがあります。本当に今は与えてもらってばかりで何も返せていないのですが、『DAYLILY』を多くの人に使ってもらうなど、見える形で恩返しできたらいいなと思っています。

小林さん:1人ではできないです。
王さん:2人だから、新しいものがつくれるんです。わたしは子どものころから飲んでいるので、普通より知識がある。でも、漢方に対する勝手なイメージもあって。一方で、モエさんは詳しくないからこそ、斬新なアイデアを思いつく。

2人で一緒に話して考えた漢方を台湾のメーカーさんに提案すると「そんな考え方あるの?」とよく言われます。これは1人だとできない。この化学反応こそ、『DAYLILY』らしさだと思います。
小林さん:お互い海外だから、大変です(笑)
王さん:モエさんに出会ったのは、来日して2年くらいのとき。日本人の働き方を知らず戸惑いました。でも同じ目標があるから、喧嘩してもやる。だんだんお互いの特性がわかってきた気がします(笑)
小林さん:日本人って喧嘩しないように、思っても言わないことあるじゃないですか。でも台湾の方は、いい意味ですごくぶつかってくる。色々あるけど、お互いに波長を合わせていくのが大切だと思っています。
小林さん:わたしは会社を辞めて『DAYLILY』だけになったので、1日のリズムを自分でコントロールしなければいけなくなりました。

小林さん:ただの小売りではなく、もっと近くで寄り添うような、自然と生活に溶け込むブランドにしたいです。毎月お届けして、生理中も穏やかに過ごせるようにする。そんな関係性を、妊娠や出産など、いろんなタイミングでつくれたらなと。
王さん:漢方っていろんなものにできるので、全部あったら幸せだなと勝手に想像しています(笑)一気には難しいですが、少しずついろんなライフスタイルに合わせた商品をつくっていきたいです。

小林さん:絵本作家でした。デザイナーになりたいと思ったこともありましたが、学校に行
ったり仕事をしたりする中で、自分にはコンセプトづくりが向いていると気づきました。王さん:私はクラリネットを小学3年生の頃から27歳までやっていました。それを断念して憧れていた日本に来たら『DAYLILY』をつくることになった。人生何があるかわからないです(笑)
王さん:中学生のころから『嵐』が好きでした。ジャニオタです(笑)それ以外にも、インターネットが今ほど浸透していなかったころから、台湾には日本の情報が早く入ってきていたので、いつか行ってみたいと思っていました。
王さん:東京から離れたくて(笑)箱根によく行きます。
小林さん:台湾の方って、すごく積極的に旅行をするんですよ。すごくいいところですよね。


小林さん:かばんの中に入っていたパウチのものは、生理期間中や生理前に。エリちゃんのかばんに入っていたパウチは生理前後にといった具合に、そのときどきで使い分けています。王さん:わたしは元々、広告代理店でも働いていたので、どうしてもバランスが崩れやすい。自分でコントロールできない環境の中で、どうすればもとに戻せるか?と考えながら、自分の状態に合ったものを選んでいます。
小林さん:心も体もヘルシーにいたいです。起業してから、日々のルーティンをどうしたらうまくつくれるのか考える機会が増えたので、より強く感じるようになりました。『DAYLILY』もその一部になれたらいいなと思います。

王さん:やはり健康が一番大切。それはモエさんが言うように、体だけではなくて心とのバランスも。健康でいるためには、常に自分の内面のバランスを知る必要があります。今日は落ち込んでいるから、この漢方を飲もうとか、そういうことは意識しています。
小林さん:何かをはじめるとき、拠り所をもつことが大切だと思っています。それは私のように一緒に挑戦するパートナーでもいいですし、見守ってくれる人でも、日々のルーティンでも何でもいい。そういうものがあると、一歩踏み出しやすくなるんじゃないかなって思います。

王さん:やりたいことがあるなら、とにかくやってみたほうがいいと思います。やってみなければ、いいか悪いかさえわからない。旅に出るような気持ちで、チャレンジしてみるのが大切だと思います。


大学院在学中に出会い、卒業後2人で台湾発女の子のための漢方ブランド『DAYLILY』を立ち上げる。2018年3月に台北に1号店をオープン。2019年9月には日本1号店が『試品生活日本橋』内にオープン予定。