自らの道を切り開き、進み続けている憧れのあの人は、何を考え、挑戦しているのか。
仕事やプライベートで好きなことなど“19の質問”をぶつけ、女性たちが自分らしく輝くためのヒントを探ります。
今回は、独自の感性から生まれるミニマルシックなファッションを提案しているブランドRIM.ARKのクリエイティブディレクター兼デザイナー 中村真里さんにお話を伺いました。


それ以外には、ブランドの世界観をつくることもわたしの仕事です。
カタログやSNSにアップされる写真など、みなさんの目に入るものはすべて関わっているので……やること山積みです(笑)

もともとは、福岡で美容師をしていました。そのとき働いていた美容院が、たまたまファッションスナップの依頼を多く受けているところで。「もっと幅広く、ファッションを知りたい」と実際に東京に服を見に行く機会も増え、だんだんと服にかかわる仕事がしたいと思うようになりました。
バロックとは別のところで接客を学んだあと、SHEL’TTER博多店で働きはじめました。そこで「東京に行きたい」という思いを伝えたら、1か月後に異動になって。
-いきなりですね!
本当に突然で(笑)家も決まっていなかったので、1か月くらい寮に住んでいました。そのときに社内の誰もが受けられて、グランプリを取ったら“夢を叶えてもらえる”というコンテストがあったんです。
「夢を叶えてくれるなんて、本当かな?」と思ったけど、仲の良い先輩たちも応募していたし、グランプリを取れなくてもいい経験になると思って挑戦しました。
その結果、グランプリをいただけて、自分のブランドを持つことになりました。
販売をしているときに「自分のブランドを持つって、どういうことなんだろう」とよく考えていて。「何を考えて、これをつくったんだろう」と考えることが好きなんだと気づいたときから、「自分のブランドを持てたら幸せだろうな」と思うようになりました。

最初はひとりだったけど、今はたくさんの人に助けてもらっています。この3年は、本当に一瞬でした。
「想像以上に大変だよ」って言いたい(笑)

ブランドを立ち上げた当初は孤独感と不安を抱えて、毎日を過ごしていたなぁと思います。とにかく地道で、いつどこでブランドを立ち上げて良かった!と思えるのだろうと、帰り道によくひとりで考えては、その日がくるまで“とにかく頑張るしかない!”と自分自身を励ましていましたね。

なので、自分を信じで地道にやり続けること、それが大事だということを伝えたいです。当時は「こんなに忙しいんだ……」って感じていたけど、今と比べたら10分の1くらいで(笑)でも、今思えば全部勉強で、自分にプラスのことしかありませんでした。

実際に見たものから得たインスピレーションを落とし込むことが多いです。

国内外問わず、常にインスピレーションが受けられそうなギャラリーはリサーチしているのですが、その中から場所を決めて、半期に1回くらいのペースで海外にも訪れています。
去年はドイツのミュージアムに行きました。そこで出会ったドーム型のギャラリーからインスピレーションを受けてできたのが、オリジナルで作成したキルティングです。


もちろんコレクションは、チェックします。でも、それより自分が感じたことを落とし込んだ服とか、自分が素敵だと思ったアーティストとコラボした服を発信していきたいです。
2018AWのSAYORI WADA(サヨリ・ワダ)さんとのコラボがはじめてです。

たまたま素敵な絵を海外のメディアで見つけたのがきっかけでした。調べてみたら日本人の方でしかも日本でイベントがあるということがわかって! 実際にイベントに行って、SAYORIさんの絵をわたしがデザインした服に落とし込みたいということを伝えて、実現することになりました。
今回はコラボレーションではないのですが、今日着ているドレスもプリントされている絵をAlicia(アリシア)という女性デザイナーに描いてもらいました。ロンドンまで実際に会いに行って、決めたんです!
“とらわれない自由さ”そして“たくましさや美しさ”のある“前向きな女性”というインスピレーションがフリーハンドで表現されています。花柄のジャガード織りの上からプリントしたこだわりのシリーズです。
この日はAliciaの絵柄をネイルにも



都内の美術館やギャラリーを巡ったり、本屋さんに行ったりしています。映画館やヨガに行ったりもしますね。
没頭して読むことができる小説が大好きです。今読んでいる『星がひとつほしいとの祈り』(原田マハ / 実業之日本社文庫)は、西本早希さんに誕生日プレゼントとしていただきました。
読み始めたばかりですが、読書家からのおすすめの1冊なのでさすが。時間があれば、すぐ読めるように持ち歩いています。


卒業文集には“雑誌に出る人”と書いてありました!
座右の銘ではないのですが、セリーヌの前デザイナーPhoebe Philo(フィービー・ファイロ)の「Less is More(少ないことは、豊かなこと)」という言葉は、自分にとってもブランドにとっても突き刺さりました。

RIM.ARKは、“シンプルだけど、シルエットにこだわる”ことを大切にしていて。着る人自身が輝くことをお手伝いするものとして存在する服をつくっていきたいと考えているので、「本当にそうだなぁ」と改めて感じた言葉でしたね。
この仕事に就くまでは、保守的だったんです。ずっと美容師をやっていくと思っていました。
でも、本当にわかりやすく、一歩踏み出したら、そこから何にでも挑戦するようになったんです! 失敗を恐れなくなったというか。失敗しても死ぬわけじゃない、やってみてダメだったらしょうがないって。
もちろんやる意味がないと最初からわかっていることはやりません。そのことにどれだけ自分が注力できるかが大切。自分の熱を人に伝えて、伝わったら「よし、やろう!」ってチャレンジしています。

RIM.ARKクリエイティブディレクター/デザイナー。上質感と知性を感じさせるミニマルシックなファッションを提案している。