
人によって違う?今こそ知っておきたい汗のニオイの原因と対策
夏になると気温が上がり、汗をかくことも増えますよね。そんなとき気になるのは、汗のニオイ。
そこで今回は、医学博士の川上貴史先生に、汗について教えていただきました。
汗の基本知識をおさらい
-そもそも暑いと汗がでるのはどうしてなのでしょうか?
汗は体温調節に欠かせないものです。皮膚が暑さを感じて体温が上がると、汗をかくことで体温を下げようとします。だから夏の暑い時期は、汗をかく機会が多くなるんです。
汗のニオイが発生するのはどうして?
-汗をかくとどうしてもニオイが気になるのですが、ニオイの原因って何なんですか?
汗が出てくるのは“汗腺”という皮膚に存在する部位。
汗腺には、手のひらや足の裏に多く存在する“エクリン汗腺”とワキや乳輪、陰嚢(いんのう)や女性器などに存在する“アポクリン汗腺”があります。
このうちのアポクリン汗腺から出てくる汗は脂質やタンパク質を含み、細菌によってこれらが分解されるときにニオイが発生するんです。(※1)
汗のニオイは人それぞれ?
-全く汗をかかないという方は少ないと思いますが、汗っかきとそうでない人では臭いに違いがあるのでしょうか。
根本的なところですが、実は汗自体にニオイはありません。エクリン腺から出てくる汗に関してはほとんど脂質やタンパク質を含まないので、臭いを発生するケースはあまりないでしょう。
しかし、アポクリン腺から出てくる汗は脂質やタンパク質を多く含むので、“これらが細菌によって分解されるとき”に臭いが発生します。
ですから、特にワキなどで汗をかきやすい方は、必然的に細菌によって分解される機会が多くなるために、臭いが強くなると考えられます。
逆に汗をあまりかかない方であれば、細菌による分解の機会が少ないために臭い自体も少なくなります。
いずれにしてもワキなどはこまめに汗を拭きとってあげることで臭いをある程度抑えることができると考えられます。(※2)
汗を頻繁にふき取るのはもちろん、最近では制汗剤の種類もニオイを防いでくれるものから、殺菌効果の期待できるものまでたくさん登場しています。
“大人のたしなみ”として、こまめな汗のニオイケアをできるようにしたいですね!
【参考】
※1 坂井建雄・河原克雅.カラー図解,人体の正常構造と機能,改訂第2版,聴覚と平衡覚p738,日本医事新報社,2012
【参考】
※ Aleshyn_Andrei / shutterstock
【取材協力】
※ 川上貴史…北里大学大学院医療系研究科医学専攻博士課程修了、医学博士。予防医学を専門とし、医学的に美と健康に主眼を置き研究を続ける。各種教育機関や講演会において予防の重要性を啓発している。